ブルーライトカットは意味がない?
日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会などの6学協会は共同で
「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」を発表しました。
また、米国眼科アカデミーのホームページには、ブルーライトの影響に関するQ&Aが掲載されており、それによると、ブルーライトが目に損傷を与える科学的証拠はなく、アメリカではブルーライトカット眼鏡は推奨していないという(Rahul N Khurana 医師 )の意見もあります。
ブルーライトとは
ブルーライトの特徴
ブルーライトとは、光の中の青色の光線のことを指します。光には、目に見える光と目に見えない光の2種類があります。目に見える光は「可視光線」と呼ばれ、人の目には380~780nmの波長のみが見えます。その中でもブルーライトは、波長が380~500nmの光であり、可視光線の中では最も波長が短い光です。波長が400nmよりも小さいものは紫外線、780nmよりも大きいものは赤外線と呼ばれています。このブルーライトよりも波長が短いものは紫外線となり、波長が長いものは赤外線となるのですが、これらは目には見えません。
ブルーライトの重要性と影響
米国国立衛生研究所の定義によるとブルーライトは、体内時計(サーカディアンリズム)を整えるために重要な光です。人の目には体内時計をコントロールする役割を持つ視細胞があり、この細胞はブルーライトの波長と同じ460nmの光に反応します。太陽光に含まれるブルーライトを日中に浴びることで、体内時計を調整することができます。体内時計が乱れると睡眠障害などが引き起こされ、健康に影響が出てしまいます。そのため、ブルーライトは健康維持において非常に重要な役割を果たしています。そのため、ブルーライトカットは意味がない(カットしないほうがいい)という意見も見られるようです。
ブルーライトはどういう影響がある?
国立環境研究所と東京家政大学の研究チームによるとブルーライトを含む太陽光は健康を維持するためには必要な光であり、ビタミンDの生成のためには適切な光を積極的に浴びたほうがよいとされています。しかし、パソコンやスマートフォンの普及による暴露量の増加や、浴びる時間帯によっては人の体に影響を与えてしまいます。目への影響と、心身への影響に分けてご紹介します。
ブルーライトが目に及ぼす影響
ブルーライトによる目への影響
長時間にわたってブルーライトを浴びると、以下のような目の症状が現れることがあります。
- 眼精疲労
- 目の乾き
- 目のかすみ
- 光に対する過敏症
ブルーライトが目に与える影響の理由
ブルーライトは散乱しやすい性質を持っており、光がチラついてまぶしく感じたり、目の疲れを引き起こしたりすることがあります。また、ブルーライトは波長が短いため、エネルギーが大きい光とされています。そのため、目が疲れやすくなるのです。さらに、ブルーライトが網膜や角膜上皮細胞(角膜の最も外側にある細胞)に影響を与えることが研究によって示されています。
角膜上皮細胞は通常、5〜7日のサイクルで新しい細胞に生まれ変わりますが、ブルーライトの影響によってターンオーバーサイクルが乱れ、新陳代謝が遅くなる可能性が指摘されています。
ブルーライトによって引き起こされる心身の症状
パソコンやスマートフォンなどのデバイスから発せられるブルーライトによって、以下のような心身の症状が現れることがあります。
- 頭痛
- 肩こり
- 睡眠リズムの乱れ
- イライラ感
ブルーライトが心身に与える影響の理由
ブルーライトは太陽の光にも含まれており、人間の体はブルーライトを浴びると目覚めるという性質があります。そのため、夜にブルーライトを浴びると体が目覚めてしまい、睡眠リズムが乱れてぐっすり眠れなくなったり、翌朝の目覚めが悪くなったりすることがあります。このため、寝る前にスマートフォンの使用を控えることが推奨されています。
地球で生命が創生された 30億年前から地球の自転周期とともに生体内のリズムは規定されていて、太陽光中のブルーライト、食事、運動などで調整されている。しかし朝や昼間のブルーライト暴露が少なく、夜間のブルーライト暴露が多いと、生体時計が昼と夜を区別できなくなる。たとえば、昼間の照明や採光が暗いとか、就寝前にブルーライト成分の多い住宅照明下で過ごしていると、昼間眠く作業能率が悪化し事故やミスが増加し、寝つきが悪いとか就寝前に内臓、
引用:国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究 NO.1408
血管、神経系が昼間同様に活発に活動するような体調不良がおこりかねない。このように生じたサーカディアンリズム障害によって睡眠障害はもとより、がん、肥満、糖尿病,高血圧、うつ病の危険性が高まり、老化現象が加速するという研究報告が多数ある。これらの発病メカ
ニズムとして、時計遺伝子の関与も強く示唆されている
それでもブルーライトカットは意味がない?
前述の通り、ブルーライトが人間の概日リズムを妨害し、眠りにつきにくくする可能性があるいう研究やブルーライトの悪影響に関する研究は日本にとどまらず、世界中でさまざまな報告があります。
アメリカでは過去50年間、平均睡眠時間と睡眠の質が低下しており、アメリカ成人1,508人を対象とした代表的な調査で、アメリカ人の90%が少なくとも週に数晩、就寝前の1時間以内に何らかの電子機器を使用していることも明らかにもなりました。(引用:米国政府公式ウェブサイト:NCBI )
太陽の光に過度にさらされると 、白内障、目の増殖、がんなどの目の病気のリスクが高まります。その中にはブルーライトも含まれます。
米国眼科学会の広報担当である眼科医のマイケル・クトリブ医師は、「自然太陽光であれ室内の人工光線であれ、紫外線は角膜や水晶体だけでなく目の表面組織にも損傷を与える可能性がある」と語ります。
アメリカのテクノロジー企業Apple Inc.の公式HPでも[夜間に明るいブルーライトにさらされると、24 時間周期の体のリズムに影響が生じて寝つきが悪くなることがあるという研究結果もあり]という文言が記載のページもあり、ブルーライトを低減する「Night Shift」と呼ばれる新機能が2016年にiOSに導入されました。
仮にブルーライトカットの意味がなくても心配
電子機器から発せられるブルーライトの悪影響はまだはっきりとわかっていないことが多いようですが
各研究機関や各国企業の注目対象であることは間違いないようです。さらにTwitterなどのSNSではブルーライトの影響について心配の声やブルーライトカットを行うことで目の疲れが軽減された効果を実感したという声も多数存在します。
さまざまな意見や研究がありますが、以下ではブルーライトカットを緩和する方法をご紹介します。
ブルーライトを緩和する方法
パソコンやスマートフォンによるブルーライトの影響からの対策方法です。
パソコンやスマートフォンの使用時間を減らす
デジタルデバイスの使用時間を減らすことで、ブルーライトの影響を軽減することができます。必要な時にのみデバイスを使用し、暇つぶしやなんとなく見る習慣を改めましょう。特に寝る前のデバイス使用は控えるようにしましょう。
パソコンやスマートフォンの連続使用をやめる
ブルーライトによる目の疲れを緩和させるために、デバイスの使用時間を区切り、適度な休憩を取ることが重要です。1時間ごとに目を休めるようにし、遠くを見たり目を閉じたりすることで目の疲れを和らげましょう。また、目の周りをマッサージすることも効果的です。
約20フィート離れたところを20秒間見る「20-20-20」というものも存在します。
眼科医はこれを「20-20-20 ルール」と呼んでいます。
ブルーライトカットメガネやブルーライトカットフィルムを使用する
ブルーライトの影響は研究が進められている状態ですが、ブルーライトの「カット」効果が証明された製品は存在しています。
https://www.firme.jp/c/iphone/iphone-case-film/apip-figl-or-blc
[HEV領域対応ブルーライトカット]
スマホから発せられる角膜や水晶体を通過して網膜に到達してしまう
「HEV領域」までカットします。(HEV=目に見える光の中で最も有害な光の領域)この製品はそのスマホが発するブルーライトに加え、光源から照り返された
UV・ブルーライトまでも拡散させることで目の保護を行います。さらに拡散されたUVは通常目に見えない光ですが、
[日本第三機関証明取得商品]
フィルムを介して拡散された光が出るため今までは効果が
わかりにくかったカット効果を視覚的に実感することができます。
ブルーライトカットメガネやディスプレイカバーを利用することで、ブルーライトの影響を和らげることができます。用途に合った製品を選び、デバイス使用時に装着するようにしましょう。
部屋の照明やディスプレイの輝度を変える
部屋の照明を明るくし、ディスプレイの輝度を抑えることで、ブルーライトの影響を軽減することができます。また、まぶしさを軽減するためにグレア防止の照明器具を使用することもおすすめです。
スマホの機能でブルーライトを調整する方法もあります。
iPhoneでブルーライトカットの設定をする方法は以下の通りです
1.「設定」を開き「画面表示と明るさ」を選択
2.「Night Shift」を選択
3.「時間指定」か「手動」を選んでONにする
Androidでブルーライトカットの設定をする方法は以下の通りです。
1.「設定」を開き「ディスプレイと輝度」を選択
2.「夜間シールド」を選択
3.「色温度や、タイマーの設定」をしてONにする
目薬を使用する
ブルーライトによる目の疲れを緩和するために、目薬を使用することも効果的です。ただし、目薬の使用方法や用量には注意し、説明書に従って使用しましょう。
まとめ
ブルーライトは私たちの目や健康に影響を及ぼすことが分かっています。しかし、デジタルデバイスを使うことが日常化している現代社会では、完全に避けることは難しいでしょう。それでも、適切な対策を取ることで、ブルーライトの影響を軽減することができます。定期的な休憩や適切な照明の確保など、日常生活に取り入れやすい方法を試してみましょう。
よくある質問
Q1. ブルーライトからの影響はすべてが悪いものでしょうか?
ブルーライトは目や健康に悪影響を及ぼす可能性がありますが、適切な量を浴びることは体内時計の調整にも役立ちます。適度なブルーライトの取り入れ方を考えることが重要です。
Q2. ブルーライトカットは意味がないのでしょうか?
電子機器から発せられるブルーライトの悪影響はまだはっきりとわかっていないことが多いようですが
太陽光に含まれる同じブルーライトによる体への影響は存在し、各研究機関や各国企業の注目対象であることは間違いないようです。
Q3. ブルーライトを完全に遮断する方法はありますか?
現在の技術では、完全にブルーライトを遮断することは難しいです。しかし、デバイスの使用時間を制限したり、寝る前の使用を控えるなどの対策を取ることで、ブルーライトの影響を軽減することができます。
Q4. ブルーライトの影響を感じない人もいるのでしょうか?
ブルーライトの影響には個人差があります。一部の人はブルーライトに敏感で、すぐに目の疲れや不快感を感じることがあります。一方で、他の人は影響をほとんど感じない場合もあります。
Q5. ブルーライトの対策は子どもにも必要ですか?
子どもは成人と比較して敏感であり、成長過程のためさまざまな影響を受けやすいです。長時間デバイスを使用しているならば、まずは子どものデバイス使用時間を制限し、適切な照明環境を整えることが重要です。