ガラスフィルムのパッケージに書かれている「9H」や「10H」という文字。
「数字が大きい方が強そうだけどどんな意味を持つのかいまいちわからない」という方も多いのではないでしょうか。
硬い方が傷はつきにくいということは想像がしやすいと思います。
「9H」や「10H」をは何を指しているのかをかみ砕いて見ていきましょう。
「硬さ」の基準には2種類ある
「硬さ」を表す基準に2種類があるのはご存知ですか。
ガラスフィルムの硬さ(硬度)について知る前に「硬さ」の基準を知っていきましょう。
鉛筆硬度
一般的に使われている鉛筆は「B」や「HB」などを思い浮かべる方が多いでしょうか。
鉛筆の「B」や「HB」という指標は濃さを表しているものでもありますが、同時に硬さも表していることはご存じですか?
鉛筆の濃さ(硬さ)にはJISが定めた規格で「6B〜B・HB・F・H〜9H」の17種類があります。
ちなみに、JIS規格では17種類ですが、実際には10Bの鉛筆や10Hの鉛筆も存在しています。
「6B」がいちばん濃く(柔らかく)、「9H」がいちばん薄い(硬い)ということです。
硬さの「9H」とは、「9H」の鉛筆でひっかいても傷がつかないという意味を表しています。
この鉛筆硬度の硬さ試験(手かき法)では下記の流れで試験が行われています。
- 試験を行う鉛筆の芯先を、固い平らな面に置いた研磨紙400番に対し直角にあて、芯先が平らで角が鋭くなるように研ぐ。
- 研いだ芯を試験面に対して45°にあて、芯が折れない程度にできる限り強く塗面に押し付けながら試験者の前方に均一な速さで約1cm押し出して塗面を引っかく。(押し出す速度は約1cm/sとする。)
- 1回引っかくごとに鉛筆の芯の先端を研いで、同一の濃度記号の鉛筆で5回ずつ試験を繰り返す。
- 塗膜の破れまたは切り傷が5回の試験で2回以上になる鉛筆の硬さの一段下の濃度記号を記録する。
モース硬度
モース硬度とは鉱物の硬さを表すもので、鉛筆硬度とは全く違う指標で表されます。
1〜10までの10段階があり、1がいちばん柔らかく、10がいちばん硬いということです。
例を挙げると、以下のような例えになります。
モース硬度 | 同等の硬さの物質 |
10 | ダイヤモンド |
9 | ルビー、サファイヤ |
8 | トパーズ |
7 | 水晶 |
6 | 正長石 |
5 | アパタイト |
4 | 蛍石 |
3 | 大理石 |
2 | ジプサム(彫刻の材料) |
1 | タルク |
上記モース硬度については、モース硬度5まではナイフで簡単に傷がつく硬度となります。
ちなみにモース硬度1のタルクは鉱物の中で最も柔らかいもののひとつで、爪で簡単に傷つけることもできます。
タルクは化粧品に使用されることが多く、おしろい・ファンデーション・ベビーパウダーなどに配合されるほど柔らかい鉱石です。
鉛筆硬度とモース硬度の違いを紹介
鉱物以外を例に挙げると、モース硬度5がだいたいガラスの硬さぐらいであると言われています。
つまり、ガラスフィルムは「ガラス」なのでモース硬度を考えるとモース硬度5に値すると考えることができます。
モース硬度5の鉱物は「アパタイト」ですが、宝石と呼ばれるほどの品質を持つものは少ないと言われています。
モース硬度5はナイフで傷をつけることができるので、硬い物質や鋭利な物質が触れた際は傷ができてしまうという特徴もあります。
スマホのガラスフィルムのパッケージに「10H」と書かれていたら、ダイヤモンドほどの硬さがあると思う方も多いと思います。
しかしながら、実際にはモース硬度の中でも「鉛筆硬度」と「モース硬度」で基準が全く別物となるので、注意が必要です。
ガラスフィルムの「9H・10H」は鉛筆硬度が基準
ここまでまとめてきた通り、ガラスフィルムのパッケージで見かける「9H」や「10H」という表現はモース硬度を指すのではなく、鉛筆硬度を指しています。
鉛筆硬度「9H・10H」は硬いものでも傷がつく
人間の爪の硬さはモース硬度2.5程度だと言われており、鉛筆硬度で表現すると「2H」程度です。
つまり、ガラスフィルムの鉛筆硬度「9H」よりも柔らかいということです。
ガラスフィルムは人間の爪よりも硬いため、スマホに「9H」のガラスフィルムを貼っておけば、人間の爪で画面を引っかいたとしても画面に傷がつくのを防いでくれます。
また、硬貨とこすれても傷をつくらずに画面を守ってくれるので、日常生活の利用ではあまり傷がつきません。
ただ、ガラス自体がナイフを使うと傷をつけることができる硬さとなっているので注意が必要です。
例えば、カッターやハサミなどで傷をつけようとするとフィルムには傷が入ってしまいますし、キーホルダーや鍵などが強く当たってしまった場合、傷がつくこともあるでしょう。
保護フィルムはモース硬度で「4」程度
保護フィルムの鉛筆硬度は9H・10Hですが、モース硬度で例えると「4」程度となります。
「モース硬度4」と聞くと10段階中の半分以下なので柔らかい印象がありますが、人の爪の硬さである「2H」よりも硬い硬度となります。
そのため、日常使いでガラスフィルムを爪で引っ?いても傷には耐えられるものになっています。
ガラスフィルムは鋭利な物で傷が付く
ガラスフィルムのパッケージにある「9H」や「10H」という表現。
モース硬度ではなく鉛筆硬度で表現されているということはお分かりいただけたでしょうか。
モース硬度と鉛筆硬度の表現を混合してしまうと、「ダイヤモンド並みの強さがあると思っていたのに違った」なんてことにもなりかねないので、正しい知識を身につけましょう。
ガラスフィルムは日常使いでは基本的に傷がつかない硬度とはなっていますが、鋭利な物や強いひっかき傷では傷ができてしまう可能性があります。
あくまで人間の爪や、スマホの画面を下向きに置いた際の擦り傷、から守ってくれるものとして認識いただくのが良いです。
また、スマホを落とした際の直接画面割れにもガラスフィルムは効果があります。
ガラスフィルムの特性を理解してあなたのスマホが長く使えるように保護してあげてくださいね。
ガラスフィルムを選ぶ上でおすすめのメーカーは別記事で紹介していますが、迷った方はラスタバナナのフィルムを買ってみることをおすすめします。