スマホなどに用いられる強化ガラスで、ゴリラガラスという名前を聞いたことがあるでしょうか。
ゴリラガラスは、スマホやガラスフィルムの商品の素材概要にも記載されているのをよく見ると思います。
有名なガラスなので、ゴリラガラスを認知されている方も多いですよね。
ただし、有名なのはゴリラガラスだけではなくドラゴントレイルというガラスも有名です。
今回はゴリラガラスとドラゴントレイルのガラスについて特徴と違いを解説します。
ゴリラガラスとドラゴントレイルの特徴
ゴリラガラスの特徴
- 初代iPhoneから採用されている歴史がある
- 現在も新製品が発表されている
- 世代によって硬度を調整している
ゴリラガラス(Gorilla Glass)は2007年に米国の世界最大級のガラス品メーカーであるコーニング社が開発した強化ガラスです。
その歴史は古く、1960年代に開発された強化ガラスを初代iPhone用に調整したものが初代ゴリラガラスとなります。(iPhone 12シリーズ以降では、ゴリラガラスにセラミック粒子を組み込んだ「セラミックシールド」が採用され、耐久性がさらに向上しています。)
ゴリラガラスは、初代iPhoneに採用された以降も技術を発展させ、iPhone以外のAndroidフラッグシップ機を含む多くのスマホにも搭載されてきました。
また、現在は2〜3年に一度新製品を発表しており、2024年現在にいたるまでに9種類の製品を開発しております。
ゴリラガラスの発売年表と種類は下記となっております。
ゴリラガラス2:2012年
ゴリラガラス3:2013年
ゴリラガラス4:2014年
ゴリラガラス5:2016年
ゴリラガラス6:2018年
ゴリラガラス Victus:2020年
ゴリラガラス Victus2:2023年
ゴリラガラス Gorilla Armor :2024年
今までの発売ペースから見ると、今後さらに新しいガラスが発売される可能性は非常に高いと思われます。
ドラゴントレイルの特徴
- 環境に優しいガラス
- 硬度の基準が高い
- 最新の世代が古め
ドラゴントレイル(Dragontrail)は2011年に世界でも有数の日本のガラスメーカーであるAGC株式会社(旧旭硝子株式会社)が開発した強化ガラスです。
採用される機種はミドルスペック機が多いですが、近年では海外大手ブランドのフラッグシップ機に採用されたと公式サイトに明記されています。
参考:ドラゴントレイル
また、製造工程において鉛やヒ素、アンチモンを使用せず環境にやさしいガラスであることも特徴です。
ドラゴントレイルにつきましては、現在3種類の製品が販売されています。
Dragontrail(初代)
2011年に発売され、優れた強度と耐傷性を持つガラスとして登場しました。
Dragontrail X
2014年にリリースされ、初代と比較して約30%の剛性強化が施されました。
Dragontrail Pro
2016年に発表され、2.5D加工されたデザインが流行する中、
エッジの強度を改善し、より高い耐久性を実現しました。
ゴリラガラスと比べると新商品の発売ペースは遅いですが、日本製ということもあり品質面では絶大なる信頼があります。
2つのガラスフィルムの違いを比較
製品名 | モース硬度 | シェア率 | 世代 | 開発元 |
ゴリラガラス | 6 | ◎ | 7世代 | 海外 |
ドラゴントレイル | 7 | 〇 | 3世代 | 国内 |
ゴリラガラスフィルムとドラゴントレイルの違いについては、モース硬度、シェア率、世代の数で比較をしてみました。
シェア率については残念ながら販売累計数などの具体的なデータはありませんでした。
ただ、ゴリラガラスの方がドラゴントレイルよりも4年早く製品を出していること、世代の数も4世代分多く販売していることからゴリラガラスに軍配が上がる状態となります。
各比較項目について、もう少し掘り下げて紹介をします。
硬度はドラゴントレイルのモース硬度7の方が硬い
- ゴリラガラス:モース硬度6
- ドラゴントレイル:モース硬度7
ガラスの硬度を比較してみると、硬さはドラゴントレイルの方が硬いものとなっています。
ただし、強度と一口に言っても想定される状況によって最適な数値は異なってきます。
例えば硬度が高ければ擦り傷などは付きにくくなりますが、その分柔軟性に欠け一点の衝撃に弱くなってしまいます。
今回紹介した2種においては、ゴリラガラスは柔軟性、ドラゴントレイルは硬度に優れる傾向にあります。
モース硬度については別記事にて詳細を紹介しているので参考にしてください。
参考:ガラスフィルムのモース硬度を解説【スマホは鉛筆硬度が基準】
シェアはゴリラガラスが多い
シェアについてはゴリラガラスの方が多数を占めています。
ゴリラガラスは初代iPhoneの時代から現在にいたるまで数多くのスマホに採用されてきました。
メーカーの象徴となるフラッグシップ機にも多く採用されていることからも、界隈でのゴリラガラスの評価の高さを感じ取ることができます。
過去の販売世代の数や、販売年数を考えるとゴリラガラスの方がシェア率が多いという点については明確となります。
商品の種類はゴリラガラスが多い
Amazonや楽天などの大手通販サイト、家電量販店のオンラインショップで検索してみるとゴリラガラスを用いたガラスフィルムの方が多いことが確認できます。
しかしながらドラゴントレイル採用のフィルムは極端に少ないというわけではありません。
むしろスマホ本体のガラスのシェアと比べるとドラゴントレイルの割合は比較的高めです。
フィルムに使われるガラスはお互いに近い世代
スマホ本体と違い、メーカーやブランドの記載はされていてもガラスの世代を明記している商品は極めて少ないです。
ただガラスフィルムは基本的に数千円の範囲であり、加えて消耗品となります。
したがってフラッグシップ機に採用されるような最新世代のガラスはコストがかかるため使われないと考えた方がいいでしょう。
実際「Gorilla Glass 3」や「Dragontrail X」採用と明記された商品はいくつかありましたが、それ以降の世代を用いた商品は見つかりませんでした。
開発元は国内と海外
上:コーニング社公式サイトより引用 下:AGC株式会社公式サイトより引用
ゴリラガラスを開発しているメーカーはアメリカに本社を置くコーニング社で、日本にも拠点や工場がいくつか存在します。
一方のドラゴントレイルを開発したのは日本のAGC株式会社となり、本社は東京都千代田区を拠点とし、工場も関東を中心に多数稼働しています。
日本での製造品が良いという方はドラゴントレイルの選択においてピッタリではないでしょうか。
結論|どちらが必ず良いというものではない
製品名 | モース硬度 | シェア率 | 世代 | 開発元 |
ゴリラガラス | 6 | ◎ | 7世代 | 海外 |
ドラゴントレイル | 7 | 〇 | 3世代 | 国内 |
前述の2種を比べた場合、モース硬度はドラゴントレイルの方が勝り、単純な硬度自体はドラゴントレイルに軍配が上がります。
しかしながら、ガラスフィルムの硬さは単純なガラスの硬さだけでは決まりません。
例えば、エッジの加工だったり表面の特殊なコーティングだったり、ガラスフィルム自体の品質や性能を決めるには「ガラスフィルムにどのような加工をするか」という点でも決まってくるものとなります。
そのため、ゴリラガラスもドラゴントレイルも大きな差はなく、2つの素材がベースとなっているフィルム選びで悩んでいる方はどちらを購入されても問題ありません。
ガラスフィルムに関しては性能も大事ですが、割れやすいものとして考えることの方が重要です。
「購入元のアフターケアがしっかりしているか」という点を意識した方がガラスフィルムが割れた際に再度同じガラスフィルムを購入する手間がはぶけるのでアフターケア重視をするのがおすすめです。
また、おすすめのガラスフィルムメーカーについては7選で紹介しています。
新しく買うフィルム選びに悩んでいるという方は是非参考にしてください。